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スパイEX Tinker, Tailor, Soldier, EX

メモ:スイスで精密加工を生業とする職場スナップ

精密加工にとって理想的な環境条件を、1枚の現地スナップ写真から引き出せるだけ引き出し、かつ穿(うが)った見方・推定からの仮説をたてる。

固な地盤その他の条件のみならず、真夏の平均気温18℃、つまり工作機械自身の発熱を考慮すれば、機械系の工業標準温度20℃にほど近くなるという、どこまでもそれに理想的なスイスだが、このスナップには、そういった天然の好条件に飽き足らずさらに理想を追求する姿勢、具体的には温度管理への徹底的な配慮、が示されている(もしくは示されていると仮定し、理想的な環境を目指しているのであれば、見えないところもこうなっているのではと勝手に推定)

なお、以下の記述は事実と、スナップから洞察する可能性および推定が含まれており、その両者の境界は明確ではない。または明確にできない事情が混在しているためそうなっている。とはいえ、それが推定だけであったにせよ、精密加工の理想的環境とは何かという条件からの逸脱はない。

つまりのところ、この会社は、精密加工という領域で、長期にわたって確実かつ高い評価を獲得しているという事実があり、このような穿(うが)った見方にも耐えうる、もしくは「何か特別なことがあるだろう」という好奇心をそそるバックグラウンドがあるため、こういった勝手な推定をしたくなるということだけなのだが。



精密加工にとって有効な環境(予想からの仮説を含む)


● 窓の外に階段があり、この建屋は斜面”のり面”上に建てられていることが分かる。いわゆる半地下状態である。
● 階段は壁に沿っており、この壁を建屋が横方向に貫いている可能性がある。つまり、スナップ右半分から建屋が”洞窟”状になっている(かもしれない)。



精密加工においては、環境温度・湿度が安定的、さらにそれが機械系の標準温度20℃、湿度55%に合致していることが大変重要であることはよく知られている(ISO1)。その状態を経済的に維持するには、なによりも断熱を効果的に行うことであり、つまりは地下状態が適していることも同様に知られている。



ただし、かならずしも油田採掘のように垂直方向に掘り進まなくてもよく、このように水平方向(洞窟状)に掘ることも名案。とはいえ推定であるが。しかし、現実にこのような洞窟(土蔵)での精密加工は、特にエアコンディショナーが導入される以前の日本においていくつも例がある。

むろんエアコンディショナーを利用しての同様の環境維持は可能であるが、ランニングコストをかならず横目でみなければならない立場であれば、立地からの競争優位性構築という視点からは、このようなアイデアは大胆ではあるが有力。

なお、エアコンディショナーは、効率面つまりコストの視点からは、同じ空調範囲ならば、大型タイプの能力を絞るよりも、小型タイプの能力を一杯にして、複数台使用することがよいとの家電関係筋からの報告も付加しておく。



スナップの時間帯は午後15:00前後、8月ごろであることが分かっており、屋外の日差しから推定するに、建物は直射日光を極力避けるため、つまり南側に面した北壁斜面に洞窟を掘った北向加減となっている可能性が高い。




ただし、ひたすらストイックに、ロジカルに環境条件を精密加工のために集結し、それらを揃えて息を詰まらせるだけではなく、作業者への配慮を忘れることはできない。作業負担の軽減のために、温度制御において影響の少ない間接光を積極的に取り入れている。この場合は、リフレクター(反射板)を利用することで実現。うまいぐあいに、洞窟入り口地点の白壁がそれに貢献している。



樹木によるバリア、つまり窓辺に積極的に植樹することで温度管理の一案としている。昨今、緑化促進への取り組みが企業姿勢への加点となっているようであるが、精密加工へ巻き込まれている諸氏であればその効果は実用面にまでおよぶ。また、塵や埃が最少であることも精密加工、衛生面ともに理想的な環境条件であり、それらの舞い上がりを防ぐ物理的機能もある。
さらに当然ながら、外部からの覗き込みなどの(このような)スパイ行為対策ともなる。



壁の断熱効果を高める効果を期待し、チェストや書類棚などは極力壁付けする。そうするのはあたりまえだと思うのだが・・・というリアクションも当然であるが、精密加工の環境整備という視点からは、すべてに意味があると穿ってかからなければならない。つまり、特に背の高い棚類の置き場所に複数候補があった場合、精密関係者ならば迷わずに、外部との接点となる箇所への”壁付け”とすべきなのである。

また、スナップからは判断出来ないが、作業場と外部の間に、ベランダ状に空間を設け、さらに断熱効果を高めることも実に効果的。空気の隙間を確保することが目的であるため、もちろん採光を妨げないように透明がよい。



照明の発熱にも留意。直接の照射を避け、間接照明、つまり壁を反射板として利用。



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