2018年9月12日

三つ爪チャック

Three Jaw Chuck

”Bite the bullet!” (弾丸を噛め! 「困難を克服するまで耐えろ!」 wikipediaより)。。宇宙飛行士のG訓練さながらに、強大な遠心力に逆らいながら、必死にワークにかみつきつづけるもの。はたまた、工作機械業界は、最先端というよりも、どちらかというと「奥手(おくて)」であることの象徴でもある。。他方の主役、工具を噛むツールホルダーは、主軸高速化に伴う遠心力の増大による引き込まれ防止のため二面拘束となり、いくつかの業界標準競争もあり、多少なりともにぎにぎしく四半世紀が経過した。ただし、こちらの回転体は鼻もひっかけられないまま、何もおこらなかった。おそらく少なくない「それはただ、各部の機能上の必要性の問題です」との、「最先端を自認」派からの反撃はとても業界人ぽさを醸し出すが、同時にその、ものの分かった態度は、最先端を行きたがり、ほんとうに行ってしまう者は持ち合わせてはいないだろう。

大型の”鉄の爪”と聞けば、超人的たのもしさ十分だが、それが遠心方向に振り回され、飛び出しを必死にこらえる姿からは、ミリメートルの千分のいくつかを日常単位にするそれとは、どうひいき目にみても相いれない。一方、業界メディアを覗けば、トピックは「軽量・高剛性の素材」。。。。筆頭のCFRPカーボンならば引張強度、曲げ強度もエポキシ樹脂を使えば鋼並み、ついでに熱膨張に方向性があってうまくそれを利用すればほぼ0の線膨張係数。。。もちろんその応用は、せん断強度の弱点なにがしなどおそらくチャレンジングで、課題はいろいろ・・と「いろいろ」をけっこう避けながら「最先端」オーラをまとうことに憧れつつも、業界は分別ざかりで、いつも好不況の時代の波にだけはしっかりのまれてしまう。